体調はほとんど回復しました。
ご心配かけましてすいませんでした。
さて、１９９９年も残すところ後数時間となりました。
２０００年、というよりも、Ｙ２Ｋが目の前まで迫ってきましたね。
皆さんは何か準備をしておられますか？
うちでは何の準備もしておりません。もし何か起こった場合、都会に比べれば、被る被害は少なそうだな、と思ってますが、どうでしょうかね。何事もなければいいのですが。
とりあえず、年またぎの時はＴＶを見てようと思います。何か起こるのを期待しながら、ね。画面の中のカウントダウンがゼロになった瞬間に電力がいっせいにダウンしたりしてね。
なんか、台風が来る前のような、ワクワクするような不安なような、胸が騒ぐ感じです。
コンピュータ業界の人とか、休みなくて大変でしょうね。
うちの店もＹ２Ｋとは関係なく年末年始無休で営業です。俺も明日は仕事です。
つー訳で、ホントは年が終わるとか始まるとか全然実感なんかないんですけどな。お年玉もらうわけじゃなし。（いや、お年玉もらったガキどもで店は忙しいっス、きっと）
というところで、今年の日記の更新は以上とさせていただきます。
来年はいつから書くかな。あした早速書いてるかもしれん。
それでは皆さん、よいお年を。
Ｙ２Ｋを乗りきって、無事でまたお会いしましょう。
（と、心にもないことを書く）
以前、この日記でイエス・キリストの生まれた年を紀元４年と書いたが、どうやらそれは紀元前４年の間違いだったらしい。Ａ．Ｄ．とＢ．Ｃ．の取り違えであった。
（ちなみに、Ａ．Ｄ．は "anno Domini" の略で、 "Domini" は "Dominus" （神、主）の複数形である。 "anno" ってなんだ？ Ｂ．Ｃ．は "before Christ" の略ね）
それに気がついたのも、今日、山田風太郎の『人間臨終図巻』（徳間書店）第１巻の、キリストの項をなんとなく読み返したからだ。
彼の記述は”三十二歳で死んだ人々”の冒頭にある。全文を引用してみようか。
キリスト［前四頃−二八・推定］
イエス降誕の年を西暦元年としたということになっているのだが、実際にキリストが生まれたのは紀元前四年という。死んだ年も西暦三〇年という説もある。あいまいなること日本の「紀元節」と五十歩百歩である。
とにかく、エルサレムでパリサイ党や祭司階級の宗教を批判し、ユダに密告されて捕らえられ、四月七日昼過ぎ、ゴルゴタの丘の上で、十字架にかけられ、午後三時ごろ死んだ。
「昼の十二時より地の上あまねく暗くなつて三時に及ぶ。三時ごろイエス大声に叫びて、『エリ、エリ、レマ、サバクタニ』と言い給えり。わが神、わが神、何ぞ我を見捨て給いし、との意（こころ）なり（中略）イエス再び大声に呼わりて息絶え給う」（『マタイ伝』）
この人物の「臨終」については、「異教徒」にとってまことに書くことが難しい。
神の子イエスという宗教的権威とは無縁の、人間イエスとしての臨終の模様があっさり書かれてあるのがおもしろい。
”三十二歳で死んだ人々”では、他に
坂本竜馬［１８３５−１８６７］ ＝明治維新前夜の英傑、暗殺＝
ジプシー・ローズ［１９３５−１９６７］ ＝戦後活躍したストリッパー、病死＝
若松善紀［１９４３−１９７５］ ＝電車爆破犯、死刑囚、死刑＝
についての記述がある。
神の子も維新の英傑もストリッパーも殺人犯も、同じ年齢で死ぬことにはなんの分け隔てもないんであるな。
からだの調子が悪い。
昨日は、あまりに体がだるいので、日課である夕食前の運動もやめた。食欲もなく、いつもより少なめの飯を食った後、ボーっとＴＶを見ていたのだが、悪寒が耐えがたいまでに強くなってくる。からだの震えが止まらない。風邪かと思ったが、熱はないようだ。起きているのが辛すぎて、もう寝るしかない、と布団に入れば、いきなり吐き気がこみ上げてきた。トイレにかけ込み、夕食を全部吐いた。気持ちが悪い。胃を洗わねば、と思い、水を飲む。また吐く。
眠気も何もあったもんじゃないが、とにかくどうしようもないので寝る。このころになると、これは食中毒なんじゃないか、という懸念が混濁した頭の隅をかすめる。体調が悪い時は気分もとことん弱気である。食中毒＝Ｏ−１５７＝死、などという連想が閉じたまぶたの裏の暗闇に浮かびあがる。やべぇよ、シャレんなんねぇ。もしかしてホントに死んだらどうしよう。このまま自分が無くなっていくというのはどんな感じなのだろう。底の知れない闇わだに果てしなく落ちていくような不快感とともに眠りに落ちた。
今朝はいつもどおりの時間に起きた。無事に次の朝を迎えられたことがうれしかった。
他に、小説以外で２冊挙げようと思う。
まず１冊はへたくそなマンガ＋エッセイである。
『ヤボテンとマシュマロ』（杉作Ｊ太郎／メディアワークス・発行／主婦の友社・発売／１８００円＋税）
俺が「いい文章書きやがるなあ」と思っている人間が何人かいるのだが、ＴＶの「トゥナイト２」で有名なこのエロおやじもそのうちの一人である。「ビデオボーイ」というアダルトビデオ雑誌にこの人のかなり長く続いている連載があり、俺は毎月それを読むのが楽しみなのである。（あ、忘れてた。２６日発売だから、もう出てるじゃないか。買いに行かないと）
なんか、心にズシンとくるんだよねぇ、この本は。心にダメダメな部分を抱えている男性は共感を得る部分があるんじゃないだろうか。
この本は『ダ・ヴィンチ』誌上のアンケートで大槻ケンヂが自分のベスト３に選んでいた。ああ、やっぱりな、と今更ながらに俺は思ったものである。
もう１冊。
『なぜ人を殺してはいけないのか？』（永井均・小泉義之／河出書房新社／１４００円＋税）
「なぜ人を殺してはいけないのか？」という問いを巡る、永井均と小泉義之という最近人気の（とどこかに書いてあった）哲学者による対談と、それぞれのエッセイを収録した本である。
少なくとも前提条件を持たずにこの問いを考えようとする人と、ある信条が背後にあって、その立場からこの問いに答えようとする人の違いが如実に表れていておもしろかった。ちなみに、前者が永井均で、後者が小泉義之である。小泉義之の話はたいがい底が見えててつまんなかったけどね。
永井均の言ってることにはけっこう共感したので、それから彼の書く本をチラッと読むようになった。
「なぜ人を殺してはいけないのか？」という問いに、究極的には「いけない」という理由はない、というのは全く同感である。
アルバイターの身なので、時間はかなりたくさんある。今年は大学を卒業して以来、最高の読書量だったのではないか、と思う。
自分のうちに存在する方向性にしたがって本を読んでいるので、基本的に俺は新刊はあまり読まないのだ。本屋の店員がこれではいかんだろうか。ま、たまに『バトル・ロワイヤル』みたいな大当たりがあるのがうれしい。
来年もあまり新刊を読むことはないと思うのだが、どうやら佳境に入って来て怒涛のごとき刊行の続く『グイン・サーガ』はとりあえず最大の楽しみである。
もう少しで１９９９年も終わるのである。
毎年この時期になると、宝島社からは『このミステリーがすごい』が発売され、文藝春秋社でもミステリーのベスト１０を発表する。複数の人によって「おもしろい」と認められた作品というのは、それをまとめて発表することで即、商売に結びつくので、本屋にとっては誠にありがたい。商品に冠がつくことで非常に売りやすくなるのである。
また、それとは別に、ランクを作成する、というのは、小説を読むのを日常としている人にとって、自分の今年の読書遍歴を総括する意味も持っている。
なので、読書を自己表現の道具にする人にありがちな、「今年のベスト１」というのを俺もしてみることにする。
で、早速、ベスト１を発表する。
俺が今年一番おもしろいと思った小説は。
『バトル・ロワイヤル』（高見広春／太田出版／１４８０円＋税）
である。
これは、おもしろい、というか、とにかく凄い小説である。新書サイズで６６６ページという分厚い本なのだが、俺はこの本を読み出したら止まらなくなり、まる二日かけて読みきってしまった。そんなに小説を集中して読むことなど、ここ最近なかったことである。
これから読む人もいるかもしれないので内容については触れないが、そのかわり、カバーについている帯の宣伝文句を紹介しよう。
「中学生４２人皆殺し！？
デス・ゲーム文学の誕生
某小説新人賞選考委員全員から、あまりの内容の過激さゆえ、揃いに揃って拒絶、
落選させられたうわさの問題作、ついに登場。管理国家と＜死のゲーム＞を主題に、
史上最悪の”椅子取りゲーム”が始まった！！」
他にも、某ホラー小説大賞に応募したところ、選考委員全員から「非常に不愉快」「嫌な感じ」「賞のためには（入選させることは）絶対にマイナス」と批判され、再度落選したらしい。しかし、その衝撃度と破壊力が口伝えでミステリ関係者に伝播し、太田出版から刊行されるに至った、と巻末の「From Editors」という文章に書いてあった。
確かに、読んでみて俺はすごい衝撃を受けた。ものすごいパワーを感じた。そして、おまけにとても悪趣味だった。いやしかし、しびれるような緊迫感の呪縛が、読んでいくうちにほとんど快感にさえ変わってしまう。
あまり新刊の小説を読まない俺が言うのも説得力がないかもしれないが、これを俺の今年のベスト１に挙げさせていただく。
俺の使っている日本語変換ソフトはＭＳ−ＩＭＥ９８である。
本当はＡＴＯＫの方がいいような気がするんだが、一太郎とＡＴＯＫは俺のパソコンに入っていない。買うお金もないので、プリインストールされていたＭＳ−ＷＯＲＤ９８とＭＳ−ＩＭＥ９８を使っている。
これが、どうも頭がよろしくない。というか、あまり常識的な変換をしてくれないきらいがある。たまにどうしようもなく頭にくる時がある。
例えば、「あんとにおいのき」が「あんと＿においの樹」に変換されたりする。「いのき」が「猪木」と一発で変換されずに「入の＿樹」などと表示されたりするんだが、人名が正しく変換されないのは、これは失礼じゃないか。俺の英雄を侮辱するようなこの行為は断じて許しがたい。そんな時は思わずマイクロソフト本社に法化したくなる。（「法化」じゃなく「放火」だっつーの。しかし、この変換間違いは痛いとこ突いてるんじゃないか）
アントニオ猪木って、常識的な変換じゃないのか。
（あ、もっと腹立つことがあった。人名を変換しようとする時、候補の中に該当するものがないので単語を登録しようとしたら、「すでに登録されています」とエラーメッセージを出しやがる。それで、また入力して変換したら、今度はちゃっかり候補の中に入っていた。なら、最初から出しとけっつーの。むかつく。これって、変換レベルの設定とかの問題なんだろうか？）
で、昨日日記を書いていて発見したこと。
ミレニアムがらみの文章を書いていたので、変換する漢字もキリスト教文化に関するものが多かったんだが、意外な単語が変換されたりするのでびっくりした。
一番驚いたのは、”ミレニアム”の訳語として使われることもある「しふくせんねん」（至福千年）という言葉が一語として認識され、変換されたことだ。例えば「せんねんしふく」（千年至福）は「千年＿至福」と節に分かれて変換される。それがこの単語では「至福」と「千年」の間に節の切れ目はないのである。そういう単語がマイクロソフトの作った辞書に登録されている、ということである。
しかし、「至福千年」ねえ。こんな一般的でない単語が辞書にあり、あっさり変換されるのに、アントニオ猪木はダメ、というのがおもしろい。俺としては苦笑するしかない。
他にミレニアムがらみでは、「せんねんき」は「千年紀」とやはり一語で変換された。
それから、「せんねんおうこく」が、（うちの設定上）「せんえんおうこく」と入力して変換すると「千年王国」とこれも一語で変換されたのだが、あれ、今日はダメだな。「千年＿王国」と節に分かれてしまった。なんでだ。
こういう単語が出てくる、というのが、やはりキリスト教文化圏の会社が作ったＦＥＰだと感心した。が、こういうところに力を入れてるんだったら、日本の有名人の名前ももっとスムーズに変換してくれると、うれしいんであるが。
これもどうでもいいことだが、苗字のあとに「しゅしょう」（首相）という単語をくっつけて変換すると、これも節なしで変換される。「おぶちしゅしょう」（小渕首相）と変換して気づいたんだが、これが歴代首相の名前だけなのか、と思って試してみたら、そうでないんである。
「あかほりしゅしょう」と入力すると「赤堀首相」と節なしで変換された。これってどういうことなんだろう。
ちなみに、試しに、と思って「いのきしゅしょう」と入力してみたら、「入の樹首相」と変換された。とことん俺の神経を逆なでするな、この野郎は。
今日も帰りの車の中でＫ−ＭＩＸを聞いていたら、世紀の変わり目の話題をまたＤＪが話していた。
あと数日で１９９９年が終わり、世間では「ミレニアム」としてもてはやされる２０００年の到来を控え、まだまだこの手の話題は尽きないようだ。
そこでの話題は、世紀の始めは何年からか（’００年か、’０１年か）、という議論は西暦を用いている西洋の国々では古くから行われていた、ということだった。
記録に残っているのでは、１５９９年にその種の議論が行われたらしい。どこで行われたかは聞き逃した。
４００年前にすでにこういう話題があったのもなにやら感慨深いものがあるが、しかし、そんなに前から議論してて、いまだに定説は確立されていない、というのが驚きだ。だが、実は俺を含む一般大衆が無知なだけで、歴史学者の間では議論するまでもなくすでに定説化している、という可能性もある。そうでなくては歴史の教科書など作れまい。
ま、定説として大衆の間に根付いていない、ということは、逆にいえば、そんなの定説にするしない、ということ自体がどうでもいいことだからかもしれない。それで生活の何が変わるというもんでもなし。
俺のような人間の暇つぶしには大いに貢献しているとはいえるだろうが。なにしろ、１００年に一度しか楽しめない話題である。それが今回の場合は１０００年に一度までもが重なるという目出度さである。せいぜいしっかり暇を潰そうと思ってこの日記を書いている次第である。
で、さらに暇潰しなんである。
”ミレニアム”について辞書で引いてみた。
『リーダーズ英和辞典』（研究社）には、次のように書いてある。
● millennium
- 千年間，千年期；［序数をつけて］《考古学などで》千年紀；千年祭．
- ［the 〜］［聖］千年至福（期），千年王国（キリストが再臨してこの地を統治するという神聖な千年間）；
- ［a or the 〜］《理想としての》（未来の）正義と幸福と繁栄の黄金時代．
また、『広辞苑』第三版（岩波書店）には「千年説」についての記述がある。
●千年説（ millenarianism ）
キリスト教で、キリスト再来の日に死んだ義人が復活して、地上に平和の王国（千年王国）が建設され、一千年間キリストがこの王国に君臨し、その後一般人の復活があって、最後に審判があるという信仰。至福千年説。
もともとキリスト教の教義と密接な関係のある語句であることがわかる。
最近の「ミレニアム」という言葉の使われ方を見ると、２０００年という年そのものを指して「ミレニアム」と言っている風潮が見られる。（小渕首相を筆頭に。しつこい）捕らえ方としては、１０００年に一度のお祭り、みたいな感じだろうか。うちの本屋チェーンでも、ちゃっかりと「ミレニアムフェア」など組んで盛り上がりのおこぼれを頂戴しようとしている。
もともとキリスト教が根付いていない国であるから、その教えとは別に単なるイベントと捉えて盛り上がれるんである。外来のものを取り入れるのになんの抵抗もない国民性である。（あ、そういえば今日はクリスマスだったね）外国人を含め、頭でっかちの知識人とかが、日本人には宗教がないとか、文化的に節操がないとか、非難がましく言ったりもするが、それは、単にそいつらの認識が甘いだけに過ぎない。そういうもんなんだからしょうがない、ということを認めなきゃいかん。
一神教の文化を背負った人種とは基本的に違うんである。なんでも楽しければいいんである。ルール無用のお祭りバーリトゥードだ。たがが外れるとどこまでも突っ走るぜ！
そういう意味で、バラクーダの「日本全国酒飲み音頭」は実に偉大な真理を明らかにした超絶ソングであると言えよう。
♪
１月は正月で酒が飲めるぞ。
酒が飲める飲めるぞ、酒が飲めるぞ。
２月は節分で酒が飲めるぞ。
酒が飲める飲めるぞ、酒が飲めるぞ。
３月は雛祭りで酒が飲めるぞ。
酒が飲める飲めるぞ、酒が飲めるぞ。
（以下、１２月まで続く)
「ミレニアム」のこの盛り上がりが、新たなる世紀の始まりである２００１年にも続くことを個人的には非常に期待したいところである。無理か？
１９９９年も残りわずかである。
先日、車で帰宅中にカーラジオでＫ−ＭＩＸ（静岡ローカルのＦＭ放送である）を聞くともなしに聞いていたら、ＤＪがこんなことを言っていた。
「曲の紹介をする時、今までだったら８０年代の曲は８０’ｓ（エイティーズ）、９０年代の曲は９０’ｓ（ナインティーズ）なんていう風に言ってたんだけど、西暦２０００年になって最初の１０年の曲ってなんて言ったらいいんでしょうかね」
そういえばそうだな、と妙に感心してしまった。自分でもちょっと考えてみたが、いいのは全然浮かばなかった。ゼロゼロズ、とか、ダブル・オーズとか、或いはシンプルにゼロズとか。
さらに言うと、２０１０年代は１０’ｓ（テンズ）になるのか。カッコ悪い。
英語圏では、この辺り、どういう風に呼ぶんだろう。ちと気になる。
で、まあ、今年が１９９９年である以上、来年が２０００年であるのは、泣いて嫌だと叫んでも揺るぎようのない事実なんである。１繰り上がって０がみっつならぶという、西暦を使う人間にとってはまさに１０００年に一回の椿事である。だが、この年こそが古い千年期（ミレニアム）の終わりだというのは実はあまり一般的ではないのだろうか。
（あ、”ミレニアム”って言葉を使ったけど、俺の認識としては、上記のように使う言葉だと思っていたんである。だから小渕首相が「２０００年はミレニアムに当たる」なんて言うのを聞くと、言葉の使い方が間違ってるとしか思えない）
２１世紀の始まりは２００１年である。
感覚的には、２０００年を２１世紀の始まりにしたほうが、切りもいいし覚えやすい。
なのに、なんで２００１なんていう切りのよくない数字が２１世紀の始まりなのか。
そもそも西暦というのは何年から始まったのだろうか。
西暦というのは、キリスト紀元とも言われることからもわかるように、イエス・キリストが生まれた年を最初の年としている。つまり、これが西暦１年である。西暦は１オリジンであるというのが通常の解釈というものだろう。キリストが実際に生まれたのは西暦４年らしいんだが、それはこの際関係ない。
そうすると、１世紀は１００年間のことをいうのであるから、第１世紀というのは西暦１年から１００年のことだということになる。そうであれば、西暦の最初の千年期は１年から１０００年までのことであり、次の千年期は当然１００１年から２０００年まで、ということになる。
以上のような理由で西暦２０００年は古い千年期最後の年だし、新しい千年期の始まりであり、２１世紀最初の年は２００１年となるわけである。
と、グダグダ書いてきて言うのもなんだが、それもそんなに厳密に決めなければいけないことでもないような気がする。２１世紀最初の年が２００１年だと言うのも、聞くところによると諸説あるらしいし。
（これの理由はよくわからない。西暦を０年から始めれば、確かに２１世紀の初めの年は２０００年はなる。俺たちが世界史の授業で習った歴史では、西暦は何年から始まったのだろう？）
それに、この文章の最初に書いた８０’ｓなんてのも、厳密に言えば８１年から９０年までの１０年間を指すべきなのだが、感覚的になじんだ解釈としては、やっぱり８０年から８９年までが８０’ｓだよね。そういえば、「週刊アスキー」で連載してる”大槻ケンヂ個人的’９０年代記”「９０くん」も、今週から装いも新たに「２０００くん」になったな。
それで年がずれたからって、全然どおってことねぇですよ。
（俺が個人的に２００１年にこだわるのは、アーサー・Ｃ・クラークの『２００１年宇宙の旅』という小説があるからだ。俺にとっての２１世紀というのはこのスペースオデッセイで幕を開ける、というのが重要なのである。だから、俺的に２１世紀というのは２００１年に始まることになっている。俺の中で俺が決めたので、世間がどうだろうがそれは全く関係ない。離人症気味か）
植木等風にひと節歌えば、
いろいろあるよ いろいろねぇ
そんなことどーでも いいーじゃねぇかァァァ
そーゆーことです。
『魂の叫び Ｊ２聖戦記』（幻冬社）を読んだ。
川崎フロンターレのＤＦであり、主将である中西哲生が自分のホームページに書いた試合ごとの手記と戸塚啓によるその解説、そして金子達仁のエッセイで構成された本だ。
内容は、昨年のＪ１昇格への失敗から今期の昇格決定までを追いかける形となっており、それが当事者の手で文章化されているのが非常に興味深い。はっきり言っておもしろい。
また、金子達仁による第一章「バックパスの行方」もよかった。これは雑誌「Ｎｕｍｂｅｒ」に「神を見た夜」という題で掲載されたエッセイを加筆・改題した物だ。俺は雑誌でそれを読んだのだが、１９９８年のアビスパ福岡と川崎フロンターレによる劇的なＪ１参入決定戦の模様を描いたエッセイはとても感動的で、それ以来、金子達仁の書くものを読むようになった。
サッカー素人の俺としては、サッカーを知る人の文章を通してサッカーの見方を知る、というのが、自分なりの見方を身につけるまでの方便としてちょうどよいと思う。
そんなわけで、金子達仁の『決戦前夜』（新潮社）を読んだ。
１９９７年に行われた、サッカーＷ杯フランス大会への出場権を懸けたアジア最終予選の模様を描いた本である。
いまさら、という気がしないでもない。それでも、作者と個人的に親しい中田英寿と川口能活の新聞やＴＶではお目にかかれない肉声が読めたりするのはおもしろい。まあ、内容がどうしてもその二人を中心に描いているので俺にとって若干物足りなくはあるが、ならば足りない分は他でフォローすればいいわけで、これはこれで読み物としてちゃんと成立していると思う。
これを読むと、加茂監督が、監督として全く無能な人物に思えてくる。
大島弓子の『つるばらつるばら』（白泉社文庫）を読んだ。
「夏の夜の獏」がおもしろかった。登場人物が、主人公の小学生が感じた精神年齢そのままの容姿で描かれている。自分は大人で、小学校の先生はガキんちょ、ボケた祖父は赤ちゃんだったりする。
このような自意識過剰は子どもにはよく見られるものだろうか、とふと思う。俺も子どもの時はこういう感じで周囲を見下す嫌なガキであったような気が思いきりする。（ひょっとして今もそうかもしれない。やはり単なる個人差か）ま、このような周囲と自分との間に存在する認識のずれや摩擦をうまく解消できるようになったとき、それを大人になったというのである、と大人になりきれない俺は思うのである。
谷口ジローの『捜索者』（小学館ビッグコミックスペシャル）を読んだ。
話としては平凡だが、この人の描写力にはいつも驚かされる。登る、という行為をここまで感動的に描ける漫画家って、あまりいないんじゃないだろうか。村上もとか（『岳人列伝』）くらいか。
で、谷口ジローがなんと、夢枕獏の『神々の山嶺』（集英社）を漫画化するらしいのである。
二人の共作は、あの名作『餓狼伝』以来なんである。『神々の山嶺』も滅法おもしろい山岳小説なので、これは期待するなと言うほうが無理ってもんだ。ものすごく楽しみである。
この『捜索者』という漫画を読んで、いよいよその思いを強くした。
山本直樹の『ビリーバーズ』（小学館ビッグスピリッツコミックススペシャル、長い）を読んだ。
タイムリーな宗教ネタである。何かを盲信して生きる人間の滑稽さと、同時にそこにかいま見える人間臭さを冷めきった視点から描くのがこの作者の俺が気に入っているところである。雑誌の連載はもう終わっているので、続きを早く単行本で読みたいところである。
貞本義行の『新世紀エヴァンゲリオン』第５巻（角川書店エースコミックス）を読んだ。
久々の刊行である。待ちに待った、と言ってもいいくらいだ。
アニメの方は完結して久しいが、どっこい漫画はまだ『少年エース』に連載中なのである。
で、この漫画版がまた、アニメに物語は忠実に、しかし漫画版独自の色合いを保ってなかなか読ませるのである。アニメ版に比べると、シンジくんが心なしかたくましいし。シンジくんの内面をアニメ版よりもきっちり描写しているのも（アニメ版とは違った意味で）感情移入できてよいと思う。
まだまだ終わりそうもないんだが、この話は一体どこら辺に着地することになるのだろう。アニメ版とは違う結末になるのだろうか。楽しみなような不安なような気持ちである。
『日本酒』（岩波新書）という本を読んでいる。秋山祐一という人が書いた本だ。この人は、東大農学部卒業後、国税庁醸造試験所に入所し、１９８０年から１９８２年まで所長を務めた経歴の持ち主らしい。
読もうと思ったきっかけは、『美味しんぼ』第５４巻、副題「日本酒の実力」を読んだことだ。
『美味しんぼ』の何が気に食わないって、純米酒だけが本物で、醸造用アルコールを添加した酒が偽者だ、と決めつけている点にある。俺は決してそうは思っていないので、声を大にして否定したいのだが、実は俺も醸造用アルコールを添加する製造上の利点をいうのを具体的に知らなかったりする。（香り高く、スッキリした酒になる、というのはよく言われることであるし、実際飲んでみて俺もそう思うのだが、これじゃ全然具体的じゃない）
この本にはその辺のことが書いてあるようなので、勉強してみようと思ったわけである。
有名な本みたいなので、日本酒が好きな人は読んでみるとなんかの参考にはなるかもね。
（岩波新書には他に、日本酒のバイブルと言われる坂口謹一郎の『日本の酒』もあるのだが、これはここいらの本屋では手に入らなかった。ひょっとして絶版か。調べてみよう）
長くなった。
「ＰＲＩＤＥ−８」における桜庭和志ｖｓホイラー・グレイシーの試合は、桜庭の見事なまでの勝利であった。決まり手は腕がらみ。プロレスで言えば、チキン・ウイング・アームロック。グレイシー一族に言わせれば、キムラロックである。
（この技をグレイシー一族が”キムラロック”と呼ぶのには訳がある。今を去ること４８年前、ブラジルでヒクソンの父、エリオ・グレイシーははるばる日本から遠征してきた一人の柔道家と試合をし、そして破れた。エリオを破ったその男こそ、柔道の鬼、木村の前に木村なく木村の後に木村なし、と言われた不世出の柔道家、木村政彦だったのである。その時の決まり手を彼らは相手の名前をとりキムラロックと呼んだ）
勝敗について正確に言えば、技がかなり危険な角度で決まっていたにも関らず、当のホイラーはギブアップせず、セコンドの兄ヒクソンもタオルを投げないので、レフェリーストップとなったのである。なので、この試合後、ホイラーとヒクソンは、ギブアップしてないのに試合を止めるとは何事か、と、決して自分らの負けを認めなかった。この辺り、４８年前と全く同じである。彼らの父親も腕を完全に折られた上で、まだ負けを認めなかった。その根性は大したもんだ、と、俺は感心するにやぶさかでない。
が、そのサムライスピリットにもちょっと納得しがたいものを感じる今日この頃の俺である。
先日、「ＰＲＩＤＥ−５」のビデオを借りて見た。メイン・イベントは高田延彦ｖｓマーク・コールマンで、これもなかなかおもしろかったのだが（ＰＲＩＤＥの高田はいまだになんか違和感あるんだよな）、それ以上におもしろかったのはセミファイナルの桜庭和志ｖｓビクトー・ベウフォートであった。
ベウフォートは若干１９歳でアルティメット大会を制した強豪である。戦前の予想は桜庭が不利。しかし、桜庭はそんな周囲の予想をこなごなに打ち砕いてみせるのである。
桜庭は開始早々に打撃をもらい追い込まれたものの、その後は全然危なげなし。スタンドで倒しきれないと見るや仰向けになってけん制の蹴りを放つベウフォートに対し、桜庭はその足にローキックを叩きこみまくる。見る間にベウフォートの太ももが紫色に変色していく。どうすることもできず、ベウフォートはただ仰向けになり相手に対して足でけん制するだけ。そこをさらに桜庭が蹴る、蹴る、蹴る。
あきらかにビビリが入ったベウフォート。桜庭の攻撃がおもしろいように決まる。スタンドではなんとローリング・ソバットでわき腹をえぐる！ 寝転んだ相手に対してはフットスタンプまで繰り出すという痛快さ。桜庭、凄すぎ！
試合は判定となったが、桜庭の勝ちだった。文句なしの完勝である。
あれ、この試合展開ってあの試合に似てねぇか？
そう、ＰＲＩＤＥ−８の桜庭ｖｓホイラーを俺は思い出さずにいられなかった。
ビデオでのこの試合は、さらにおもしろい趣向が用意されていた。ヒクソン・グレイシーがリングサイドで観戦し、試合の合間にコメントを発してくれているのである。ヒクソン幻想に裏打ちされた見事な演出である。
では、この試合を彼はどのように見たのだろうか。
（セリフはすべてビデオより抜き出したものである）
寝転がったベウフォートを蹴りつける桜庭に対していわく。
「桜庭選手はこの状況でできる限りの正しい攻撃をしていると思うよ」
グラウンドのベウフォートを桜庭が蹴りつづけて、結局１ラウンドが終了。
「６対４ぐらいのジャッジで桜庭選手の方が有利かな」
スタンドからすぐグランドで仰向けの態勢を取ろうとするベウフォートに対して。
「ビクトーはこの試合をもう捨ててるような気がしてならない」
「みんなビクトーの戦い方にがっかりしているね」
「ビクトーは何をしていいかわからないんじゃないの。もう戦意喪失だね」（苦々しい顔で）
２ラウンドが終わり、判定を待つ間。
「桜庭選手の勝ちでしょうね」
なるほど。いや、僕の感想もヒクソンとほとんど同じである。
それでもって、桜庭とホイラーの試合である。
俺はあの試合でも上記と同じような感想を持ったのだが、これに関してはヒクソンは全く違ったようだ。
（以下のヒクソンとホイラーの言葉は、「紙のプロレスＲＡＤＩＣＡＬ �癸横押廚茲螳�用した）
「（ホイラーは）ミスター・サクラバが打撃を望んだときには立ち技につきあった。ところが、ホイラーが寝技に誘った時には、ミスター・サクラバはそれに付き合おうとはしなかった」
と、桜庭の戦い方に大怒りなのである。
バーリトゥード（なんでもあり）に参加してる人間が、対戦相手の相手の戦い方に文句をつける、というのが俺には理解できない。しかも、桜庭がルールに違反したわけじゃねぇんである。相手に付き合おうが付き合うまいが、そんなのやってる本人の勝手ではないのか。
ホイラーに至っては、
「桜庭選手は私が寝技に誘っても来ようとはしなかった。まるで蟻が象から逃げているような感じだったね」
などとおっしゃっている。
ビデオを見たかぎりでは逃げてるのはホイラーのように俺の目には映ってしまうのだが。
自分に都合のいいことばかり言って、常に自分を正当化しようとしている姿があさましい。
ヒクソンは”サムライ”とか”武士道”という言葉を好んで用いるのだが、あとからごちゃごちゃと言い訳がましいこと抜かしまくるという、そのような潔くない態度は全然サムライじゃねぇんである。
「僕は悪くないもん」と絶対に謝ろうとしない子供にも似ている。
「あれはたまたま寝技の体勢になり、たまたま桜庭に有利な体勢になったというだけ」
とか、
「あのまま行けば試合はドローだったはずで、彼の勝ちはレフェリーに手伝ってもらったということだ」
などと、ヒクソンはホイラーの負けを絶対に認めない。
よかろう。
ならば、仮にレフェリーが止めず、ホイラーがギブアップしないでルールどおりに引き分けになったとしよう。
それでも俺は、偉大なる４００戦無敗の男のようにこう思うだろう。
「桜庭選手の勝ちでしょうね」
勝った！
飲むぞ！
それじゃ！
運動を再開して現れた変化。
靴下をはく時前かがみになると、今までは腹の出っ張りが邪魔して、うっと息が詰まったもんだ。
今は腹は気にならない。腹が引っ込んだわけじゃないが、腹筋が強化されたせいで、脂肪のつきまくった内臓を外から押さえることができているようである。２週間くらいでけっこう成果は上がっているようだ。
新井素子が日本ＳＦ大賞を取ったようだ。受賞作は『チグリスとユーフラテス』（集英社）。
俺はこの小説を出てすぐに読んだ。かなり泣けた。で、これは日本ＳＦ大賞をとるんじゃねぇか、と思ったものである。
なぜか。それは日本ＳＦ大賞という賞の性格による。
今までの受賞作の傾向を見ると、小説については、
（と書くのは小説以外にも与えられるからである。『童夢』や『ガメラ２』が取った。『童夢』が受賞した時、ＳＦアドベンチャー誌に「この賞を小説以外が取ったのは初めてである」というコメントが載っていたが、それはまだたった第４回目の時であった。間抜けである。閑話休題）
長いことＳＦを書いている作家のある時期における到達点を示すような大作に送られる傾向が強いからだ。新井素子のこの作品なんてのは、まさにうってつけであるように俺には思えた。
案の定である。
これも先に「あれ、賞取るぜ」と公言しとけばいかにも目利きのようで威張れるが、後から言ったところで阪神大震災の時「実は予言してました」と言ってＴＶに出た預言者と同じである。
権威があるんだかないんだかわからないような賞であるし（ないよなあ）、本の売上にも結びつかないとは思うんだが、一応長年のファンとして言っとこう。
「おめでとうございます」
「ホンモノ」とか「ニセモノ」とかの区別を信用しては行けない。
「ホンモノ」とは、その区別を行った者がある対象から抽出した、自分の価値観に合う物だけを言っているに過ぎないからである。
その価値観から外れた物は、当然「ニセモノ」と見なされ、攻撃されることになる。
だから、例えば俺がその価値観に乗っかっていなければ、その人の言う「ホンモノ」は俺にとってはどうでもいいことだったりする。
以上のようなことは『買ってはいけない』についての日記でも書いた。
なんでまたこのようなことを書いたかというと、漫画を読んで、気にいらねぇ、と思うようなことがまたあったからである。
その漫画とは『美味しんぼ』第５４巻。副題は「日本酒の実力」。
これについてはまた稿を改めて書こうと思う。
物事を「いい」と「わるい」のたった二つの価値観で区切らねばならん、というのはあまりにも思考が単純で幼いんじゃないか。
明日はＪリーグチャンピオンシップの第２戦だ。
どうなるんだろうなあ。今からすごいドキドキする。
直接見に行けないのは残念だが、ＴＶの前で熱く観戦しようと思う。ジュビロ勝てよォォ！
「サッカー日和」のとこでは文章の技巧上書かなかったんだけど、第１戦はすごいおもしろかった。ジュビロが勝ったから冷静にこう書けるってことはあるにしても、でも緊迫感に満ちたいい試合だったと思う。
スタジアムで観戦した後、ＮＨＫの夜中にやった試合の再放送を見た。結果や展開などすでに知っているにも関らず、画面にグイグイ惹き込まれたくらいである。
第２戦もいい試合になることを祈ろう。
昨日は思わずヒクソン憎しのあまり、船木を応援する気持ちになってしまった。
が、冷静になってみると、やはり俺は船木が好きでない。パンクラスも好きでない。
パンクラスというと、なんか、内弁慶の坊やたちが、こじんまりと砂場で陣地取りをしてる印象がある。どうもあそこにいる人間は皆スケールが小さい嫌な若者になりそうな気がする。外面だけ善人ヅラしてカッコよくふるまって、その実他人の悪口言いまくり、というような陰湿さと卑怯さといやらしさを感じるのである。これも船木の人徳か。小人閑居して不全をなす、というと言い過ぎだろうか。
古い話だが、前田に対するコメントとか、週刊誌を通した言葉による攻撃を見ると、前田よりの人間である俺はそう思わざるを得ない。文句があるんだったら、面と向って言えってんだ。クソッタレが。
やはり、俺には船木の応援はできない。昨日書かなかった分、今日悪口を書いてしまった。
日曜深夜の全日本プロレス中継を最近はほとんど見るようにしている。ノーフィアーはかなり俺的にブームなんである。（「ノー！」と言ったら「フィアー！」である）
最近感銘を受けたのは、最強タッグに出場したスタン・ハンセンの姿であった。
全然動けてなかった。からだの動きに足がついて行ってないのである。「ブレーキの壊れたダンプカー」と言われた全盛期の面影は微塵もなかった。ラリアットも迫力不足。ショックだった。
ハンセンももう５０歳である。そりゃあ、いつまでも強いままでいることはできないのはわかってるつもりである。だが、ジャイアント馬場はいつまでも死なないんじゃないか、と思っていたのと同様に、ハンセンは永久に強いままなんじゃないか、という思い込みが俺の中に存在していたんだなあ、と改めて気がついた。時の流れは気づかないうちに俺を追い越して行く。
ちょっとさみしかった。
「紙のプロレス」が本日発売になった。
ホイラー・グレイシーに完勝した桜庭和志が表紙である。
読むのが非常に楽しみだ。
オチは特にない。
パンクラスの船木誠勝とヒクソン・グレイシーの試合が来年にも行われそうだ、という記事が日刊スポーツに載っていた。しかしなあ、これはちょっとおかしんでないの。
バーリトゥードで大して実績をつんでない船木がいきなりヒクソンとやると言っても全然ピンと来ない。俺的には、グレイシー一族の一角を崩した桜庭和志がヒクソン追撃の一番手だと思っていただけに、トンビに油揚げをさらわれたような気持ちである。はっきり言っておもしろくない。というか、なぜ船木？ と思ってしまった。横入りじゃねぇのか、それ。俺はよく知らなかったんだが、そういう流れがどっかにあったのか？
この試合が組まれて喜ぶのって、パンクラスファンか「週刊プロレス」の安田拡了（バカ）くらいだと思うんだけど、どうだろう。船木の中に存在するはずの「対ヒクソン」という物語は、パンクラスファンでない俺のところには毛糸の先ほども届いていない。
俺としては、船木が負けねぇかな、とさえ思う。そうすれば順調に実績を積んで来た桜庭にも出番があるんじゃないか。横入りする奴は許さないのである。
だが、ヒクソンという男は勝てる試合しかやらない、といわれている。ということは、彼は船木には勝てる、と踏んだのだろうか。逆に弟から一本取った桜庭は敬遠したのだろうか。船木はなめられた、ということだろうな。ヒクソンのほくそえむ顔が目に浮かぶようだ。ヒクソン許すまじ。
ああ、まずい。船木の悪口を書き連ねるつもりが、ちょっとだけ船木を応援する気が起きてしまったぞ。船木は嫌いだが、ヒクソンはそれ以上に嫌いだ。
船木がもし叩き潰せるってんなら、やってもらおうじゃねぇの。横入りした責任は、ちゃんととってもらわねば。
できなければ笑ってやる。
ちょっと古い話。
安生洋二（フリー）がリングスの総帥、前田日明をさるパーティ会場で闇討ちした事件のことだ。
はっきり言って、前田日明という男は、そういうことをやられてもしょうがない男であることは確かだ。雑誌媒体を使って自分と敵対関係にある人物や団体の悪口をさんざん言いまくってたからな。安生もその一人だった。だが、俺が前田を好きなのは、そういうことを言いながら、文句があるならかかってこい、いつでも相手になってやる、というような覚悟を前田の中に見ていたからである。
第一次ＵＷＦが新日のリングに上がっていた時。
猪木ｖｓ藤原の試合後、藤原を締め落とした猪木のアゴに不意打ちのハイキックを叩きこんだのは前田であった。前田自身だってやってることである。それを他の人にやられたからって文句を言う筋合いではない。
（ただ俺が思うのは。あの時の前田の襲撃というのは、年老いたボスに対する若い後継者の、プロレス界の方向性と、そのボスの座を争う過激な思想闘争であった。今回の事件は、たかが私怨、というのがスケールが小さくてあまりおもしろくない）
ならば、ここで前田がすべきこととは何か？
刑事告訴などでないことは明白である。
答えは一つ。安生を闇討ちせよ。
最近、新日本プロレスがおもしろい。
こう書くと、俺と同じ昭和世代のファンは怪訝な顔をするだろうが、本心である。
気にいらねぇレスラーもあいかわらずいるが（小島だ）、新日の覇権を競う、ｎＷｏとＴｅａｍ−２０００の「黒い」闘争は、思わず惹きつけられるものがある。特に、両軍団のヘッド、もはや新日のエースとして君臨する武藤敬司と、「黒いカリスマ」蝶野正洋との対立の図式がおもしろい。武藤の強さはＩＷＧＰチャンピオンとして全く納得できるものであるし、蝶野の他を圧倒する存在感には俺もしびれさせられた。特に蝶野はイイっしょ。カッコいっス。なんか最近のファンみたいだなあ、俺。
団体の主導権争いという、知識がない人にもわかりやすい展開と派手な演出。まるでアメリカン・プロレスを見ているかのようで、前の俺なら虫唾が走ったことだろう。が、慣れてしまえばどってことねぇよ、という状態に今の俺はある。おもしろいもんはしょうがない。
「ワールドプロレスリング」を見るのが毎週楽しみなのである。
で、その新日にも不満はあるのだ。
橋本と小川の再戦はまだ早いだろ。それで橋本が勝っても全然説得力がない。勝ちに至る筋道はまだ全然できていないと俺には感じられる。
そういう点で、今度のドームの試合が小川・村上組ｖｓ橋本・飯塚組のタッグマッチになったのはよかった。俺としては村上と飯塚の因縁対決シングルマッチが見たかったところではあるが、これはこれでいいでしょう。やはり段階を踏まなきゃいけない。勝つまでやる、というのは大切なことである。しかし、そうホイホイ試合を組むような軽い試合じゃないでしょう。そこんとこは藤波社長にはわかってもらいたいなあ、と思う。
とにかく、プロレスは黒い軍団にまかせて、新日本隊はＵＦＯと全面対決してもらいたい、と思うのである。（つーか、みんな、小川とやって目を醒まさせてもらいなさい）
１２月４日、土曜日。
Ｊリーグチャンピオンシップの日だ。今回は初の同県勢同士の対戦ということになった。いわゆる静岡ダービーが、最高の舞台で行われるのだ。その日の第１戦は、１ｓｔステージの覇者であるジュビロ磐田が、ホームグラウンドであるジュビロ磐田スタジアムに、２ｎｄステージ覇者の清水エスパルスを迎え撃つ。
俺は朝から気合が入っていた。サッカー王国を自負する静岡県人にとっては重要な意味を持つ試合なのだ。サッカーを見にスタジアムに行くようになってまだ１年も経たないのに、いきなりこんなカードが実現してしまうのだ。なんという幸運か。それを見に行ける俺は何という果報者か。いちいち大げさだが、このくらい気分は舞い上がっていた。
俺の持っているチケットはバックスタンドのブロック席という奴だった。俺はジュビロ磐田のサポーターズクラブに入っているので、チケットは一般発売よりも前に先行予約ができるのだが、それでも指定席は手に入らなかった。いかに周りが盛り上がっているかがわかろうというものだ。
ブロック席というのはバックスタンド上段の自由席のことをいう。これはこの前のベルマーレ平塚との試合を見に行って確認しておいた。同じ席のチケットを買っての下見したわけだ。ちなみに、ジュビロ磐田スタジアムの自由席はバックスタンド両翼に設置されている。それと区別して名称を変えているのだろうか。その辺は定かでない。
なにしろ、席は自由なんだから、早く行かないことには席を取れない可能性もある。自宅からジュビロ磐田スタジアムまで、車で約４０分かかる。それに、食事や買い物の時間を考えて、１２時くらいにはスタジアムに着く予定で家を出ることにした。試合開始は１５：００だが、待つ時間くらい大一番を控えて大して気にしないのだ。
さて出かけるか、と外に出れば、空は雲ひとつない快晴だ。まるでジュビロ磐田の勝利を暗示しているかのように、透きとおったサックスブルーが頭上に広がっている。とてもきれいだ。
車は知り合いの駐車場に止めた。
うちの本屋に毎朝本を運んでくる運送屋の兄ちゃんがいる。雑談の中でこの試合のことが出て、俺が有料駐車場を使っているを話すと、兄ちゃんは言ったものだ。 自分（新婚）のアパートはスタジアムの近くで、そこにはゲスト用の駐車場もある。使ってる人もいないから、そこに停めれば、と。
いい人だ。ほんとうにいい人だ。地図まで書いてもらっちゃったので、ちゃっかりとそこに停めさせてもらうことにした。兄ちゃん、心の底からありがとう。
駐車場からスタジアムまでは１０分くらいだっただろうか。坂道が多い。田舎では、これくらいの時間でも歩くことなどめったにない。久しぶりの感覚に、忘れていた物を思い出したようで大変に気分がいい。天気は上々、しかもぽかぽかと暖かく、遠州のからっ風が少し強く吹いているが、Ｔシャツの上にタンガリーシャツを２枚引っ掛けただけの軽装なのに、全然寒くない。こんな日にサッカーが見れるっていいよなあ、と妙にうれしくなった。
スタジアムは住宅地の中にある。歩く道筋にもアパートや一個建てが立ち並ぶが、都会のようなごみごみした印象はない。それとなく見渡せば、アパートの窓や、軒先に、ところどころジュビロ磐田のサックスブルーの旗がはためいている。それが圧倒的多数でないのがちと残念だが、ホームタウンであることをあらためて実感した。中には色あせて年季の入ったジュビロの大きい旗の横に、新しい小さなエスパルスのオレンジ色の旗が飾ってある家もあった。地元民のダービーへの思いをかいま見たようで、ちょっと微笑ましい。
スタジアムにはすでに長蛇の列ができていた。しかも圧倒的なオレンジ色の人波である。アウェイのエスパルス応援団はほとんどが自由席での観戦になるためだろう。まだ１２時にもなっていないのに、すごい人の数だ。その雰囲気に気圧された。
俺はスタジアムを横目に見ながら、近くのショッピングセンターに向った。腹ごしらえと買い物のためだ。回転寿司を食い、スタジアムで飲むためのペットボトルの飲料水を買ったあと、ショッピングセンター内にあるジュビロのオフィシャルショップに向う。防寒用の衣類を買うのが当初からの目的だった。
ベルマーレ戦を見に行ったことはすでに書いた。その時も同じくらいの陽気で、同じような格好で見たのだが、日が翳ってくるととたんに寒くなりやがった。甘かった。俺は冬をなめ切っていたことを猛烈に反省しつつ、あとからあとから垂れてくる鼻水をふきふき観戦したのだった。
それにはほとほと懲りたので、今回は厚着をすることにした。それも、どうせならスタジアムではジュビロのロゴが入ったものを着たいじゃないか。という訳で、胸に”Ｊｕｂｉｌｏ”のロゴの入った濃紺のハーフコートを買った。値段は１２，８００円。着る物に金をかけない俺にとって、今まで生きてきた中で最高に高い部類の私服になった。ちらっと後悔に似た感情が脳裏をよぎるが、まあ、長い付き合いになるのだろうし、カッコイイので良しとしよう。
これで準備はＯＫ。試合に向けて気合を入れなおす。
スタジアムに入れたのは、結局午後１時近くになってからだった。俺は１２時くらいから列に加わり（隣にひとりで来てた女の子がいたんだが、根性がなくて声をかけれなかった）、開場したのは１２時３０分くらい。それでも入るのに時間がかかった。なにしろ数百メートルの行列ができていたのだ。
入ってすぐに、とりあえず席を確保する。
座って、とりあえずひと段落。落ち着いたところで周りを見まわしてみる。
ゴール裏のアウェイ側自由席ははやくも満員だ。比べて指定席に座っている人はほとんどいない。並ばなくても席は確保されてるんだから余裕がある。ブロック席もまだまだゆとりがあった。出足が鈍い。バックスタンドはほとんどジュビロのサポーターで占めるだろうとは思ってたんだが、みんな来るのが遅いんじゃないか。エスパルスサポーターの勢いを見てしまうと、なんかホーム側のパワーが足りないように思えてくる。不満だ。
客席よりさらに視線を先に延ばせば、スタジアムの周りの緑と家々が見える。その上には、朝と変わらずにサックスブルーの空。まだ緊張感にみなぎる前の閑散としたスタジアムの景色と合わせて見ると、なんとものどかでのんびりとした光景だ。一瞬、自分がピクニックか日向ぼっこでもしているような感じにとらわれる。
思えば、自分がサッカーを見に来ている、というのがそもそも不思議な気がした。
もともとサッカーに関心がなかったわけじゃないし、静岡県西部の磐田市ををホームとするジュビロの試合なんかもＴＶで見たりはしていた。ジュビロはなにしろここ２年ばかりとても強かったので、身近なチームが勝つのは、そりゃあ気分がいいものだった。
でも、スタジアムに見に行くほどの熱心さはなかった。そんなにサッカーに詳しくなかったというのもあって、ＴＶで見ててもおもしろさがいまいちよく理解できなかった。
それが変わったのが、忘れもしない、今年５月５日の国立競技場で行われた、鹿島アントラーズｖｓジュビロ磐田の試合だった。俺はＴＶで見たんだが、ジュビロが２−１で、激戦の末、アントラーズを下したこの試合は、とにかくすごくおもしろくて最初から最後まで興奮しっぱなしだった。名波の決めたフリーキックは凄かったし、延長でＶゴールを決めた藤田には思い切り感情移入ができた。 サッカーがこんなにおもしろいものなら、これはぜひ生で見なければいかん、と、それ以来スタジアムに通うようになったのだ。今ではＪリーグの試合日程が生活の一部になっている。
スポーツ観戦はプロレスだけで充分だった俺も、変われば変わるものだ。
会社に勤めてた頃、俺はなんとサッカー部に所属してたんだが、あの頃に今くらいサッカーに目覚めてれば、もっと熱心に打ち込めたのになあ、とそれはちょっと残念に思う。
試合前のセレモニーが終わり、両チームの選手がピッチに散った。
弥が上にも高まる緊張感、超満員にスタジアムを埋めた両サポーターの声援も最高潮を迎えている。
俺はといえば昼に買ったハーフコートを着こみ、息を止め腹筋に力を込めてその瞬間を待っていた。
午後３時３分。
キックオフの笛が高らかに鳴った。
１１月１０日に受けた健康診断の結果が先週返ってきた。
いきなりショックがでかい。
送られて来た「成績書」の”指導事項”という項目がある。俺の健康状態について色々と忠告してくれているので、それを書いてみる。
肥満度Ｂ
肥満気味です。日常生活には特に問題ありませんが、バランスのとれた食生活に心がけてください。
脂質 Ｃ０
コレステロールの多い食品（卵、クリーム、バター等の動物性脂肪）を控えめにし、禁煙して運動不足にならないように気をつけましょう。
肝機能 Ｃ３
肝機能検査に、正常値を少し外れたところがあります。アルコール類は控えめにし、運動不足にならないようにするなど日常生活に注意して、３ヶ月後に再検査を受けてください。
「３ヶ月後に再検査」だってさ。びっくり。
ちなみに”Ｃ３”という判定は、「異常なし」の”Ａ”から数えて５番目である。また、その次は”Ｄ”（精密検査を受けてください）である。今はまだ大丈夫だけど結構きてますよ、という感じだろうか。
俺は今まで健康診断で引っかかったことがなかったんである。それが、初めて肝臓が引っかかった。
マジでショックでけえ。
確かにここんとこ数ヶ月は運動もしないで日本酒ばかりかっ食らっていたからなあ。こういう結果が出ても仕方がないんである。
それにしても、まさかこんなにあっけなく検査で悪い結果が出るとは思っても見なかった。自分の体を過信してはいかん、と思うと同時に、やはりもうそんなに若くないということなのか、と暗澹たる気分になった。
このままじゃいけない。
そんな訳でダイエットすることにした。
といっても、極端な食事制限はしない。肥満気味とはいっても、飯を減らしてまで痩せてやろうとは俺は思わない。それに、飯を減らして一時的に痩せたとしても、そんなもの食事制限をやめたとたん元に戻るに決まっている。それもリバウンドのおまけ付きだ。リバウンドは恐い。
では、何をするのか。
体質を改善するのである。
今まで実際に試してみたり、本で読んだりしたことをやるんである。
偉そうに書いたが、つまり、全くの我流である。
まず、酒をあまり飲まないようにする。余分なカロリーを摂取しない、ということが第一。肝臓も休ませなきゃいけないし。しかし、たまに飲みたくなる時もあるので、我慢せずにそういう時は飲む。精神的なストレスをためないようにしなければいけない。
（明日はＪリーグのチャンピオンシップ第１戦である。ぜひ、ジュビロ磐田に勝ってもらってうまいビールを飲みたいと思う）
もともと一人暮しをしていた時は、家で飲むなんて事はめったになかったし、飲みたいという欲求はそんなに強くないので、俺としてはこれは別に苦にならない。
次に、これがメインなのだが、毎日運動する。
多少脂肪がついていても、筋肉さえあれば増えた分の体重を支えることができる。
人間は足から弱ると言われる。筋肉が弱ると、自分の体重を膝関節の周りの筋肉が支えきれなくなる。そして負荷がモロに膝関節かかってしまい、膝をいためてしまうのである。最近、俺も普通に歩いてる時に、膝が抜けるような感覚をたびたび覚えることがあった。足の筋肉が弱ってる、と危機感を持ってはいたんだ。増えた体重を抱えて支障なく日常生活を送るにはそれなりの筋肉が必要である。
余談だが、ものすごい腰の曲がった年寄りっているよね。俺が小学３年の時に９３歳で死んだひいばあさんも腰が曲がっていて、外出する時は必ず乳母車を押していったものである。でも、ああいう人でも寝る時は腰はちゃんと伸びてるんだぜ。腰の関節が変形して曲がってるわけじゃなく、ただ腹筋と背筋が弱ったので背骨を支えきれなくて腰が曲がってるんだ。筋肉って凄い。筋肉にくにく二九１８。
それに、運動を習慣にすることにより体の基礎代謝量が上がる。太りにくい体になるのである。
いま俺がしている運動は次のとおり。
ヒンズースクワット ４０回 拳立て伏せ ２０回 指立て伏せ ５回 腕立て伏せ ５回 腹筋 ３０回 腹筋（捻り） ２０回 背筋 ２５回 ダンベル（２Ｋｇ）を使った上腕と肩の運動 首の運動 ストレッチ
時間は全部で２０分くらいだろうか。
筋肉を鍛える運動に１０分、ストレッチに１０分くらいかけてると思う。
大学や社会人の時と較べると悲しいほど少ない回数である。自分でも情けない。
しかし、昔のような回数をやろうと思っても既に体がついていかない。それで体をいためてしまっては元の木阿弥である。
これでも実は最初からすると回数を増やしてはいるのだ。少ない回数でも身体がきつかった。今はもうだいぶ平気になった。
徐々に身体を慣らしながら続けていくつもりだが、あまり回数を増やしてしまうと、運動にかける時間が長くなり途中で飽きてしまうので（つらくなるわけではない）これくらいがちょうどいいのかもしれない、と思っている。でも、スクワットと腕立て類はもっと回数こなしたいなあ。
これも１日やそこらがんばって回数だけこなしても意味がないんである。俺の経験でも、いきなりスクワットを５００回やったことがあったが、次の日はもう出来なかった。つらくてやる気がしなくなった。自分で継続してできるくらいの回数でないとダメである。
あとはこれが効果を発揮してくれればいいんであるが・・・・
やりはじめて１週間、体型は自分で見てもかなり変わったと思う。毎日洗面所の鏡に自分のボディを映してみるのが楽しみである。思いっきりマッチョなポーズ決めてみたりして。（先輩、ナイスポーズで〜す）日常でも、身体の動きにキレが戻ってきたような気がする。突きも蹴りも素直に出るようになった。うれしくてしょうがない。
しかし、体重は落ちていない。家の体重計で計っても５００ｇしか減っていない。そんなの測定誤差の範囲である。減らねぇなあ。努力が報われないのって空しいぜ。
地味な攻撃ほど効く、というのはプロレスと同じだ。地道に地道にやっていくですよ。おれのこういう思い込みって信仰に近いものがあるな。
とりあえず、走ると脂肪が揺れるこの腹を何とかしたい。何とかしよう。
再検査に向ってＧＯ！（不健康な気合だな）
長らく日記を書くのをサボってしまった。連載の途中なのでずっと気に病んでいた。１１月の終わりから書き始めたというのに、いつの間にやら師走の声を聞くようになってしまった。
だが、実は書いていなかったわけではない。連載第３回の分は書いたのだが、どうも書いていておもしろくなかったので載っけなかったのだ。しかも、まだ終わらなかった。この連載に関しては、モチベーションが下がっている。（こう言えばなんでも許される気がするのはサッカーの見過ぎか？）
週刊少年マンガ誌の連載ならば、
「作者急病のため休載します」
とか、
「作者取材旅行のため休載します」
とかの言い訳が目次のところにちっちゃく書いてあるな、きっと。
読者は誰もそんなの信じちゃいないが、お約束としては確立された感がある。
切羽詰ると人間誰しも逃げ出したくなるのは、気持ちとして非常に良くわかることであるよ。
言い訳とはちょっと違うんだが、週刊マンガ誌といえば、連載の終了・継続に関しての不自然な展開が色々思い出される。特に俺が小学生くらいの頃の「少年ジャンプ」にはけっこうあった。
『私立極道高校』というマンガをご存知か。宮下あきらのマンガで、ちなみに”極道”と書いて”きわめみち”と読む。題名の通りの内容なのだが、これはなんの前触れもなく、その週の最終ページの帯に、
「この作品は今週で連載中止します」
と書いてあって、いきなり終わってしまった。理由の説明も一切なしである。子供心にも、どんどん過激になっていく内容がまずかったのかなあ、と推測した記憶があるが、とにかくあ然としたのを覚えている。
その他に印象深いのは、なんといっても『リングにかけろ』だ。
ボクシングの世界大会決勝戦で高嶺竜児を大将とする日本Ｊｒ．の５人はギリシャＪｒ．と対戦した。これがものすごい強敵で、戦い終わるごとに一人また一人と倒れていく。しかも、たぶんこれは死んだのだろう、と思わせる展開で。これが凄い盛り上がりで、俺もかなり熱中していたので、読んでいてボロボロ涙が出てくるのである。毎週毎週ジャンプが楽しみでしょうがなかった。
それで、とうとう大将戦、高嶺竜児対アポロン（ギリシャの選手は皆ギリシャ神話の神様の名前なんですな）である。命を懸けて勝ちを収めた竜、肺炎に冒されながらも会場に来た菊ねえちゃんの手によってセンターポールに揚げられた日の丸。倒れ伏す菊ねえちゃん。
ページをめくれば、「長い間応援ありがとう」と見開きで書いてある。
さらにその次のページにはただひと文字。
「完」
怒涛のごとき最終回であった。ものすごく感動した。「リンかけ」もこれで終わりかあ、と感慨にふけりつつ最後のページを良く見れば、「再来週から新展開」の文字が。
あ、まだ続くじゃん、と遠州弁で思った。ものすごい違和感を感じたものの、ガキの俺は、むしろうれしい気持ちになった。連載が再開されてからも嬉々として読んだものだ。こういうガキがいるんだから、そりゃあ編集部も連載止めさせられないよなあ。
いまから思えば、あれは作者は完全に終わらせるつもりだったのに、編集サイドの意向で無理やり続けさせられたんだな。商売ってのはキツイねぇ。
（この展開は後に相原コージと竹熊健太郎による『サルでも描けるマンガ教室』のマンガ中マンガ、「とんち番長」の最終回にそのまま使われた）
まあ、無理やり続けるのは、素人の俺にははっきりいって辛いものがあるんで、書くの止めちゃおうかなあ、って迷ってるところである。
というか、この文章を書いたってことが既に諦めたってことか。
そのうち、ひょっとしたら３回目と４回目を載っける可能性もなきにしもあらず。