たまゆら日記 (2000.08)

コードレス・マウスに気をつけろ! 2000年08月30日 23時34分

今日から3日間の夏休みに突入した。と思ったら昼に店から電話が掛かってきた。他店に振替るはずの商品の準備について訊かれ、それが全くできていないことを告げられる。それって俺がやるのか? 呆然とした。ついでに、客注商品の発注を忘れていたことを思い出してしまったので、明日は私服で出勤しようと思う。


ところで、最近のパソコンには、液晶モニタにコードレス・キーボード、コードレス・マウスがついた高級機がある。通常のデスクトップより数万円高いが、場所を取らないし、スタイリッシュなデザインをしているので、金のある素人衆にはなかなか人気がある。

ここでトラブルが発生する。あえて機種を書く。NECのVALUESTAR、VC667J3FDというその手のパソコンを買ったお客さんからの電話である。

マウスがすぐ使えなくなってしまうらしい。買ってからひと月ほどしか経たないが、これでマウスが動かなくなったのは2度目だと言う。最初は使えているんだが、ある日突然動かなくなってしまうんだそうだ。

コードレス・マウスはそれ自体に電池を内蔵しているので、一番考えられる原因は電池切れなんじゃないかとも思ったのだが、お客さんがかなりご立腹だったし、原因が他にあることも考えられるので、可能性をほのめかす程度にしておいて、メーカーに確認を取っており返しお電話します、ということでお茶を濁した。

メーカーに電話して驚いた。こういうことってよくあるんですか? と尋ねたら、担当者はあっさりと言った。

「よくあるんですよ」

そのコードレス・マウスは電池の持続時間が75時間しかないんだって。しかもボールを少し動かしただけでも電池を消耗するので、かなり早く電池の寿命がきてしまうことがあるらしい。

他の部分が原因で故障している可能性もあるという。しかし

「電池を変えたら動いたなんていうこともあるもんですからね」

なんてことを言って修理を嫌がっていたところを見ると、たくさんあるこの手の問い合わせのほとんどの原因は電池切れだったんじゃないだろうか。明言はしていなかったが、かなり臭い。

結局、NECの方から代わりにコード付きマウスを送ってもらう、ということでケリがついた。


75時間しか電池が持たない、っていうと、1日3時間使っちゃったら1ヶ月は経たないうちに電池を交換しなければいけない、ってことだ。たとえば仕事で1日7時間とか使ったら10日あまりで電池が切れる。なんちゅう不経済。長時間使用する人には絶対に向かない。コードレス・マウスを使用した機種はそもそもパソコンの中でも贅沢品に属する部類の商品ではあるが、さすがにお客さんもこういう部分で金が掛かるとは思わないだろう。

よくこんな商品を作るよな。あきれたぜ。って、それでもうちの店も販売は止めないけどね。商売ってこういうもんらしい、ってのが身に沁みる今日この頃。


クレームをつけたお客さんからその後電話があった。電池を変えたら動いた、ということだった。案の条である。直った、ということでお客さんもかなり低姿勢になっていてホッとした。電池の持続時間が75時間であることは伝え、それはそれで納得していたようだが、よく考えてみれば電池代がこれから嵩むことになるのは目に見えているわけで、新たなる火種になりそうな気がする。

現時点で金食い虫のコードレス・マウスは、よっぽど特殊な事情がない限り使わないほうが無難です。

ドラクエの発売日でしたね。 2000年08月26日 23時34分

ドラクエってあいかわらず人気高いな。職場でもやはりドラクエの話題は出たよ。それにしても、MOTHER3が発売中止になったのは返す返すも残念である。


先月の日記の初回で宣言したことが、いまごろになって現実のものとなってきた。

要するに忙しくて日記書く暇がねーですよ。ストレスのはけ口としての効用が、この日記にはあることはあるのだが、それも程度問題である。日記書く暇があったら俺は寝るぜ、って傾向に流れがちな今日この頃。静かに静かにストレスが脳の底にたまる。

今日もこれから、本部に行って参加した会議についてのレポートを書くのさ。明日提出なのさ。でもさ、会議って各店の次長クラスの人が参加するものだったんだけど、入社して2ヶ月と経たない俺が出ても、さっぱりチンプンカンプンだったですよ。なに書きゃいいんだか。ちなみに今日帰ってきた時間は午後10時50分。

無理だっちゅーの。

書くけどさ。

それじゃ。

アンディ・フグ、死す 2000年08月25日 01時20分

帰りの新幹線の中、横に座っていた次長がいきなり言った。

「フグが死んだんだって」

一瞬なんのことやらわからなかった。フグってあのアンディ・フグですか? と聞き返すと、

「ニュースで今流れたよ。また出るんじゃない?」

と言う。

だって、フグってついこの間までピンピンしてたじゃないか。勘違いか、なんかの間違いなんじゃないか。あの「鉄人」かかと落としのフグが死ぬ、というのが全然納得が行かない。だってまだ若けーじゃん。一瞬のうちに様々な疑念が頭の中をよぎる。ちょっと俄には信じがたい。

しかし、まもなく車両の出入口上部に取りつけられた電光掲示板が、そのニュースを流しはじめた。

『K−1のアンディ・フグ選手が死亡。35歳。死因は急性白血病』

病気か。愕然とした。極真カラテ世界大会で外国人で初めて決勝まですすみ、K−1グランプリで優勝を遂げた武道家も病魔には勝てなかった。鍛錬に鍛錬を重ねた鍛えぬいた肉体でも、こればかりはどうすることもできない。それにしてもなんちゅう悲劇的な病名なんじゃ。急性白血病。ショックは大きい。

格闘家としてもまだまだこれからだったし、映画に出演する話もあったらしいじゃないか。無念だっただろうなあ。


わたくしこと赤堀は昨日(日付的にはおととい)23日で32歳になりました。

アンディ・フグ選手とは3つ違いということになります。

だからなんだってわけじゃないですが。

人の命って儚いね。明日のことなんてわかんないね。同世代の人が志し半ばで逝かなければならないのを見るってのは、それだけでほんとに切ないね。

アンディ・フグ選手のご冥福を心からお祈りします。合掌。

うお。 2000年08月20日 23時51分

いきなりパソコン売り場の担当を任されることになった。

前任者の仕事を見ているかぎりでは、量的にも質的にもかなり大変な仕事である。いつも走り回ってるし、いつも確認の電話をかけてるし、いつも死にそうに見える。その他の仕事の流れもまだ完全に把握できていないのに、すごいことになってしまった。泣きそうである。

受け身も満足にとれない入門したての新人が、いきなりメイン・イベントでスタン・ハンセンと時間無制限1本勝負を戦うようなもんっすよ。それは試合とは言わない。と殺と言う。死ぬぞ、絶対死ぬ。

とりあえず、何をしなければならないのか、数字の確認は何を見ればわかるのか、仕事の流れはどのようになっているのか、確認が必要だなあ。仕事しながらやらねばならないのがきつい。そんな暇あるんだろうか。ないです。でも、しなければ俺が死ぬ。ハンセンと闘うにもできるだけのことをしなければならないよ。やっぱり「やる前に負けること考える馬鹿いるかよ!」ですよ。カラ元気振り絞ってがんばろう。はああ。

おじバカ 2000年08月16日 23時32分

世間はこの何日かお盆休みだったらしい。全くカレンダーに縛られない勤務体制の俺としては、平日でも忙しくすぎて涙が出るぜ、ちくしょう、などと思うくらいで、休みが取れる人々をうらやましがる暇もなかった。俺の場合、たった3日もらえるのが夏休み、なんて中島みゆきの歌の歌詞を地でいっている。ハードだ。


なんて思っていたら、お盆休みで弟夫婦が実家に帰ってきた。甥っ子も一緒である。この場合、弟夫婦が来るのはもちろんうれしいのだが、甥っ子が来る、という事実の前にはそれすらおまけに過ぎない。(うわ、怒られるぞ)

あいかわらず無条件にかわいい。俺ばかりでなく、うちのジジババもそれは同じなのである。彼が来る、という当日、点数稼ごうと思って内緒で別々におもちゃを買いにいったらしいのだが、それがたまたま同じおもちゃ屋だったので、後から行った母親に店の親父が密告してばれた、なんて事態も発生した。まったくあさましい。いや、それもむべなるかな。うちのジジババを見てるかぎりでは、目に入れても痛くない、つーのは比喩表現ではねーですよ。

2歳になったばかりなんである。このごろはかなり言葉も話す。まだたどたどしいが、それが却って奇妙な愛嬌になる。トラック運転手をしている父親の影響でか、彼はこの年でかなりの自動車好きであって、彼が「びーとう」と言えばそれは「フォルクス・ワーゲン・ビートル」のことであるし、「ご」と言えばそれは「フォルクス・ワーゲン・ゴルフ」のことであるし、「おんだ」と言えばそれは「ホンダ」のことであるし、「びー」と言えばそれは「BMW」のことなんであるよ。うー、かわいい。

なので、今度は俺もジジババに負けずに、車のおもちゃを準備しておくことにしよう。

く。 2000年08月11日 00時47分

ときどき「生きててすいません」などと思ってしまうことがある。いや、仕事中の話なんですけど。

こんなの知らなくて俺ってバカじゃーん、とか、こんなのできなくて俺ってダメじゃーん、とか落込むのである。実際は仕事が忙しいから落込んでいる暇さえないのだが。そしてまた失敗する。失敗した記憶ばかりが澱のように脳の底に沈殿していく。背後でもう一人の俺がつぶやく。「使えねー奴」。うるせー、そんなこと俺が一番よくわかってるっつーの。

なあんかもう、うまく行かないなあ、ホントに。


明日、というか、既にもう今日なのだが、7日ぶりのお休みだ。休むよ。休むよお。目いっぱい休もお。


自虐自虐。それもまた気持ちよし。

苦闘。 2000年08月08日 22時28分

今日の俺の売上げは\-220,000。

マイナスってのがすごいよな。売上げがもともと少なかったところへもってきて、俺の名前で伝票を作成した高い商品のキャンセルが相次いだためだ。昨日から商品のキャンセルがやたらと多い。これって俺の人徳のなせる技なのだろうか。

ものは売れない。売ったものはキャンセルされる。痛い電気店店員だなあ。くう、泣けてくるぜ。

なんか、お客さんがいっぱいいて売れそうな時に限って、クレーム対応とか電話の応対とか金にならない仕事ばかりやっているような気がする。俺はサポート要員か。意味ねえ。

今月の目標もヤバイかもしれない。泣き事言う前に稼がねば。


おとといも書いたんだが、やはり俺の接客のし方はまずいよなあ。説明するだけした後に、「考えてみます」って簡単にお客さんが離れてくもんなあ。こう、迷っている人の背中をポンと押してやるような会話の流れを作りたいもんだが、自分から積極的に相手に仕掛けて流れを変える、というのは俺の最も苦手とすることだ。数年前の飯塚か、俺は。試合中の彼は、相手のペースに合わせるのに精一杯だったように見えた。自分で自分の試合の流れを作ることができるのが一流のプロレスラーというものだ。相手の仕掛けに合わせるだけの奴は所詮二流にすぎない。めざせ、二流脱却。

うわあ。 2000年08月07日 23時46分

悪いことは一度に起こる。

今日は売上げが全然上がらなかった。こんな日に限って、俺の売上げ分のノートパソコン(\160,000)がキャンセルされたり、俺が受けたエアコン工事でトラブルが続発したり、伝票がなくなったりするんである。

全部自分が悪いんだけどよ。たまんねーぜ、ボロボロ。足もとに墓穴が見える。


手元に電卓がないとなんか落ちつかない。

壁に当る。 2000年08月06日 23時24分

売れない。

俺が接客したお客さんが、買ってくれない。

こちらとしては一生懸命商品の説明をし、さ、どうでしょう、という態勢で待ち構えているのだが、そこでお客さんの口から出る台詞は「もう少し考えてみます」だったりする。今日はとてもこのケースが多かった。

お客さんの購買意欲を刺激するような会話の流れになっていないんだろうなあ。話術が巧みだとは自分でも全然思っていなかったのだが、ここまであからさまに結果が出ないと考えこまざるをえない。


で、何がよくないのか考えてみる。

だらだらと商品説明ばかりしてるのがよくない。

ほんの親切心から相手が望んでもいないような余分な情報までつけて話してしまい、相手をわけがわからなくするのがよくない。

お客さんの「買いたい」心をあとひと押しするテクニックがないのがよくない。

うお、よくないことだらけやんけ。

ダメだ。めげる。


商品についての説明を求めるお客さんというのは、要するにどれにしようか迷っているわけで、結局、「これならOKですよ」という店員の一言がほしいんじゃないと思う。人生相談と同じですな。答えは自分の胸のうちに存在しているのだが、それを確定するリターンキーを他人に押してもらいたいのである。

ダメ店員にして傲慢なもの言いだ。確かにこの例に当てはまるお客さんばかりではないが、それでも確実にこういう人はいる。

わかってるんだったら実行に移せばいいじゃん、って話なんだけど、それがうまくできりゃ苦労はしねーのよ。

少なくとも、知識を相手に押し付けるだけの接客は直した方がいいだろう。あくまで、お客さんに判断材料を提供する、というくらいで押さえないといかんだろう。この俺が、知識ひけらかすことを武器に今まで生き延びて来たわたくしが、そんなことできるんかいや。むずかしいぜ〜。

ネットの話題。 2000年08月05日 22時59分

労働はあいかわらず俺にとって苛酷なものである。肉体的に、という次元はとうに過ぎ去り、肉体が慣れた分、今は精神的にかなり追いこまれている。何をやってもできない気がしてしまうのがよくない。やる前から負けている。これじゃダメだ、と思いつつも、うまくいかないんだよなあ、これが。白髪が増えた。すげえ増えた。朝、鏡で見てびっくりした。


久しぶりに労働とは関係ないネットの話。

e-shopping booksをご存知か。ネット上に存在する本屋である。ホームページから、ほしい本を注文することができる。

ネットに本屋は数々あれど、ここが他と決定的に違っているのが、なんと注文した本をセブン−イレブンで受け取ることができるのであるよ。ほとんどのネット本屋は、宅配便で本を自宅にまで配送する、というサービスを行っている。しかし、これだと日中は働いている人などは、宅配便が来る時間に家にいないために物を受け取ることができない、という欠点がある。その点、セブン−イレブンで受け取ることができれば、お客さんは本の入荷後に好きな時間にとりに行くことができる。それに、近所にろくに新刊も入荷しない本屋しかないような僻地の人間にとっては、注文すればほとんど1週間以内に新刊が手に入る、というのは大いなる福音である。

そんな僻地にはたしてセブン−イレブンがあるのか、といった謎は残るが、取り寄せ手数料はかかるものの、200円と宅配便の配送料よりは100円以上安いし、けっこうお手軽でいいな、と俺は思っていた。実際に数回利用してみたことがある。こちらの本屋で手に入らない本が簡単に手に入ったのは実にうれしかった。

しかし、人間の欲望には際限がない。最初は喜んで注文した俺だが、回を重ねるごとに、たかが一冊本を頼むのに200円を取られるってのも痛ぇなあ、とか思い始める。1800円の本を注文する。手数料は200円。本の価格の1/9かかる。うげ。これがネックとなり、だんだんとこのホームページから足が遠ざかっていった。

ところが、である。ここでうれしいニュースが飛びこんで来た。e-shopping booksが、セブン−イレブンのネットワークサービス会社であるセブン・ドリーム・ドット・コムと提携したため、本を注文してもセブン−イレブンで受け取る限り手数料が無料となったというのである。つまり、普通の街の本屋に頼むのと同じ感覚で、ネットで本の注文ができるってことだ。家のパソコンで注文できるから、本屋に行くより断然お手軽だ。

これはすごい。すごすぎ。さっそく夢枕獏の『B−1ザウルスの盃 行った、見た、遊んだ…… 過激なエッセイ参上!』を注文してしまった。これが、ここいら周辺の本屋にはどこにも置いてなくて参っていたのである。うーん、手数料なし。いいなあ、これは。町の本屋はかなりダメージを受けるんじゃないだろうか。しかし、すでに俺は本屋の店員ではないのである。あっしには関りのねえことでござんす。これからもes-booksにはずいずいお世話になってしまいそうな気配である。


本がらみで近頃思うんだが、こんなサービスを行っているところはないだろうか。

最初に自分の好きな作家と、興味のある話題・テーマを設定しておくと、その作家の新刊のニュースや、設定したテーマ関連の本の話題を電子メールで送ってくれる会員サービス。

と、こういうのを俺は切望しているのである。

テーマがらみってのが提供側の作業が煩雑になって難しいというのであれば、作家の新刊ニュースだけでもいいから知りたいもんである。普段本屋になんていくヒマがなくなった俺としては、是非とも必要な情報なのだ。

すでにあるんじゃないか、と思っていろいろ調べてみたのだが、寡聞にして未だにお目にかかったことがない。いや、でも、あるでしょ? ないの? うそ?

だから、誰かこのようなサービスを知らないだろうか。知っていたら是非教えてほしい。


フリーソフトをよく使う。フリーソフトというのはネット上で提供されている無償のソフトである。お金も掛からない変わりに動作の保証もしないよ、ということだが、それでもいざ使い始めると、こんなの無料で使っちゃっていいのかよ、と思うほど優れたものがあったりする。

俺が頻繁に使っているものといえば、テキストエディタの「K2エディタ」、HTMLエディタの「TTT Editor」、忘れちゃ行けない解凍ソフト「Lhasa」などがある。非常に使える。しかも、頻繁に機能追加やバグ修正が行われているため、自分も開発に参加しているような気分になれるのもちょっとうれしい。

先日も、新井素子研究会の著作リストを直そうとした時に、あれは同じフォーマットでそれぞれの著作ページを作っているもんだから、1箇所レイアウトを直すだけでも全部のページを直さなければならなくなる。非常に面倒くさい。それで、複数のテキストに渡って文字列変換ができるフリーソフトがほしくて仕方がなかったのである。昨日、時間ができたので調べてみたら、あるよ、あるある。たくさんあった。その中から俺の要求に合うものを選び、使ってみた。煩雑なはずの修正作業が一発で済んだ。うおお、いいぞ、これ。

「こういうソフトがないかなあ」と思っていると、だいたいネットにはすでにあるものである。求めよ、さらば与えられん、というのはこういうことをいうのだ。無償でソフトを提供して下さる皆さんには、いくら感謝してもし足りないです。この場を借りてお礼を言ってしまおう。ありがとうございます。

「店員だって人間である。」 2000年08月02日 23時53分

「店員だって人間である。」と書いて思い出した。

俺の中学時代の担任教師である。その女性は自分の機嫌が悪い時や都合が悪い時など「教師だって人間だから」と14歳のガキどもに向かって真顔で自分の行動を正当化するような人間だった。おまけに教師のくせにものを知らなかった。知識量だけだったら中坊の俺のほうが圧倒的に上回っていた。

露骨に感情を表に出して職業をまっとうできない人間的に幼稚な奴が、教師面して俺に説教たれるのが馬鹿らしかった。はっきり言って人間として完全に見下していた。まともに相手をする気にもならなかった。

この人は英語と音楽を受け持っていたのだが、英語の授業はいつも寝るか、寝たフリするかでまともに受けず、宿題もやらなかった。また期末テストで音楽の答案を白紙で提出したこともあった。通信簿の「基本的な生活態度」欄の「情緒の安定」に"ABC"評価で"C"をつけられるほど反抗的な生徒だった。それでも成績は学年で上位の方だったから、教師にしてみたらイヤな野郎であったに違いない。

で、先ほど日記を書き終わった時にふと思ったのだが、中学生の俺が今の俺を見たら、やはり軽蔑するのかな、と。逆に世間を知らねーガキが頭でっかちに知ったよーなこと言ってんじゃねーよ、と思う気持ちも現在の俺の中には存在する。この変遷については自分的にはいろいろ考えることもあるんだが、別に書くようなことでもないか、つーことで。

人を呪わば穴二つ、という言葉が身に沁みる。

客に怒る。 2000年08月02日 23時27分

人間は感情の動物である。感情とはまたいかにも原始的に動物的である。しかし、忘れられがちだが人間だって猿や犬や雉と同じ動物である以上、理性がそれを上回ることは心理歴史学的に言ってほとんどない。感情は動物の行動様式を支配する。人間もまた例外でない。

イヤな客というのが存在する。電器屋に行ったら、店員は値段を下げるのが当たり前だと思っている人種である。いや、ちょっと違うか。当たり前だと思うのは仕方がないかもしれない。それを露骨に態度と言葉に出し、店員を見下す態度を取るやつがイヤなのである。

今日、こんな客がいた。家族連れで親父と母親とその娘。家に設置するエアコンを買いに来た。接客を俺が担当したのだが、エアコンの知識なんてまるでない俺としてはひたすら無難に接客することだけを心がけていた。しかし、親父は性能や値段のことを鋭く突っ込んでくる。質問には答えられないわ、応対はしどろもどろだわで酷い接客だった。それはひたすらダメ店員である俺が悪い。

それから値段の交渉が始まったのだが、親父がとった態度と言うのがムカツクムカツクムカツク。こちらが値段を提示するごとに「もっと下がるよね」と言ってくる。それも、「おまえの腹はわかってるんだ、これでもまだ儲けはあるんだろう?」という傲慢な態度である。こちらはエアコンのことなんてほとんどわからないから、もう最初から良心的な価格を出して納得してもらおうとしていたのだが、それが却ってよくなかったようで、最初に表示価格からかなり引いた値段を出したため、親父がそれで勢いづいてしまった。

「これでギリギリなんですよ」

「みんなそう言うんだよ。エアコン3つ買うんだから、もっと負けられるでしょ」

「申し訳ないですけど、ほんとにこれ以上は無理なんですよ」

「みんなそう言うんだよ」

お前の考えなんてすべて読んでるんだぞ、という高圧的な態度。おまけに値段下げの計算中、電卓を覗き見られてしまったせいで、企業秘密のようなことにまで突っ込んでくるわけだ。俺はこういう交渉に慣れてるんだぞ、とでも言いたいのか、それとも家族の前でせいぜい大幅に値段を下げて見せていい格好をしたいのか。下げるのが当然だろ、とでかい態度がいちいち癇に障る。

言っておきますが、皆さん。こういうのは完全に逆効果です。

店員だって人間である。値段の交渉をする際に、最初からこっちの足元を見て尊大な態度をとる客なんてよく思わないに決まっている。「こんな奴、ぜってー下げねー」という気になる。精神的にも価格的にもギリギリのところで勝負していた俺は、この客を見限った。悪く言えば開き直った。この客には買ってもらわなくてもいいや、と思った。

この時の交渉も、実はまだ下げる余地はほんの少しあったことはあった。でも、それは俺の感情が許さなかった。途中から「こいつだけには絶対に譲らない」モードに突入していた。それで上司に文句でも言おうものなら、上等である、この親父ぶん殴って店を辞めよう、とまで交渉の最中考えていた。これがプロならばせいぜいあと1000円ずつも引いてやって、親父の「値段交渉のプロ」的虚栄心を満足させ、ついでに交渉も早く切り上げていたのかもしれない。俺はとてもそんなことをする気になれなかった。

修行がたりねーって言えば確かにそうだ。でも、俺は気にいらねー客は絶対に値下げしないよ。つーか、そっちがそうくるならこっちだってやってやるよ、って感じ。お客さんがダメ店員を「めんどくさい」とあっさり切り捨てるように(昨日の俺に関する実話)、店員もこうるさい客の相手をするのなんて真っ平である。交渉するならお互い楽しくやろうよ。

ま、結局のところ親父はこちらが提示した値段で買ってくれたのであるが。なんていいお客さんなんでしょ。チュッ!


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